dobest1では、視覚障害のある方にも快適に利用できるWebサイト制作を行なっております。
さらに理解を深めるべく、視覚障がい者の方に実際の声を伺いました。
社会福祉法人日本視覚障害者団体連合の吉泉さんにインタビューを行いました。
インタビュー時の一言一句そのままではありませんが、わかりやすく会話形式にまとめて記載します。
視覚障がい者とスマートフォン・PC
dobest1:よろしくお願いします。
社会福祉法人日本視覚障害者団体連合の吉泉さん(以下:吉泉(敬称略)):よろしくお願いします。
dobest1:視覚障がい者の方は、何割くらいの方がパソコン、スマホは使いますか?
吉泉:調査によって数値に差が出ています。厚生労働省の2016年の調査ではPC・スマホ利用者は20%程度ですが、日本視覚障害者ICTネットワークによる調査ではPC90%、スマホ60%利用されているという結果が出ています。
2016年の調査対象である「視覚障害を持つ人」の68.9%が65歳以上でした。(参考:平成28年生活のしづらさなどに関する調査(全国在宅障害児・者等実態調査))
調査対象の年齢によって割合は変わってきますが、PC、スマホを使う人は増えていると思います。
dobest1:若い年齢の方が増えてきているからということですね。
吉泉:はい。視覚障害を持つ高齢者がPCやスマホを覚えることは難しいです。
また、老化、白内障によって視覚障害を患うことが多くあります。すでにPCやスマホを使用している方はPC、スマホの使い方がわかるため、そのまま使用しています。
これらの要因からPC、スマホを使う視覚障がい者は増えてきていると実感しています。
視覚障がい者のPC利用の難点
dobest1:パソコンを使う上で利用しづらい点はありますか?
吉泉:視覚障がい者が使用するブラウザでは、HTMLを認識できるようになっているので基本的にはサイト内容が理解できます。
ただ、PDFファイルは認識しづらくなっていて、文字が2段組などになっている場合、文章が飛ばし飛ばしに認識されることもあります。表やグラフもPDFだと認識できないので、使用をやめてほしいです。
dobest1:HTMLだと表やグラフはどのようなものか理解できますか?
吉泉:はい、できます。
dobest1:ニュースや市役所のお知らせなど、サイトの記事に関して問題点はありますか?
吉泉:ブラウザやボイスオーバーなどで内容を認識しているのですが、文章の前に関係のないコンテンツが多いと、どこから記事が始まっているのかわからないことがあります。
記事の見出し一覧なら大丈夫ですが、使っているブラウザやボイスオーバーだと、記事以外の関係ないところも出力されるので記事を読むことがスムーズに行えません。
dobest1:貴重なお話ありがとうございます。Web制作側が気をつけるべきポイントですね。
視覚障がい者のためにWeb制作者ができること
dobest1:サイトの利用でほかに困ることはありますか?
吉泉:画像のalt属性を設定していないサイトが非常に多いです。設定していないと「画像」とだけ出力されるので、何の画像がわからないです。文章のように書いて欲しい。(公園でボール遊びをする4歳の息子と父と母 など)
dobest1:alt属性は文字制限がないのでわかりやすく書くことが大事ですね。
吉泉:あとは、フォーム入力ができないサイトが困ります。大体のチェックボックス、ラジオボタンは、キーボードのスペースキーでチェックができるのですが、たまにチェックができないフォームがあります。
吉泉:銀行や、オンラインショップのサイトでも困ったことがあります。個人情報の認証画面を入力する際、ロボットやスパム対策の「画面上のテキストを入力してください」が読めないのでやめてほしいです。
参考画像
(出典:https://bokuranotameno.com/post-5096/)
dobest1:Googleでは文字認識ができない方に音声認識への切り替えもできますが、そのようなサイトは少ないのが現状ですね。
入力ができない場合は身内の方に操作を頼んでいますか?
吉泉:はい、家族に頼むことがありますが、家族が常に横にいる訳ではないですし、一人で住んでいる視覚障がい者も多くいます。そのため、入力ができない場合は諦めて、同じサービスを扱う違う会社のサイトを利用します。
アクセシビリティで海外に遅れを取る日本
dobest1:スマホを使う際に困ることはありますか?
吉泉:スマホアプリ内でも、きちんとalt属性などができていないものがあります。ボタンがあっても「ボタン」としか読み上げられず、何のボタンかわからないことがあります。
dobest1:それは使いづらいと感じますね。
吉泉:日本だと例えばNHK Plusなどはボタンとしか読み上げない場面がありますが、Amazon PrimeやYouTubeなど海外のアプリだとちゃんとしています。
吉泉:これは、アメリカでは、障害者にも使いやすいもの(アクセシビリティが確保されているもの)でないと公共調達の対象にならないとされているからだと思います。つまり、アクセシビリティに欠けるものは政府機関が購入しません。それがリハビリテーション法第508条(Section508)で定められており、その他にもADA、ACAAといった障害者やアクセシビリティに関わる法規制が複数存在しています。
参考:CONCENT
日本は国として対策に動いているが、具体的な対策などはまだ足りていないことを実感します。
dobest1:日本のアクセシビリティに関する状況は改善の余地がまだまだあるということですね。
dobest1:本日は、貴重なお話をありがとうございました。
吉泉:ありがとうございました。
社会福祉法人日本視覚障害者団体連合について
日本視覚障害者団体連合は、わが国の視覚障害者を主体とする団体により構成され、視覚障害者福祉の向上を目指し、組織的な活動を展開している社会福祉法人です。(引用:日本視覚障害者団体連合)
社会福祉法人日本視覚障害者団体連合
所在地: 〒169-8664 東京都新宿区西早稲田2丁目18−2
電話: 03-3200-0011
公式サイト:http://nichimou.org/